不本意にも禁制宗に指定され日蓮正宗の信仰が公に出来なかった金沢法難の中、ある信徒が大石寺の信仰を切望した遺言状
画像:久保家遺状(妙教・平成5年12月号50ページより)
久保家子孫代々に伝へまいらせ候。
今日まで、正宗の法華経唱へ奉り候へども、
藩の取締まり堅固なれば、思ふままに
信心致し難く、大石寺に指出候事
中々至難に相成り候へば、ただ只管
に襖の影より心密に題目を
唱へ居り候。何時しか当家にも大
声高らかに題目のひびき渡り候時を祈
「久保家子孫代々に伝へまいらせ候、
今日迄で正宗の法華経唱へ奉り候へども、
藩の取締り堅固なれば思ひのまゝに
信心致し難く、大石寺に指出候事
中々至難に相成り候へば、たゞ只管
に襖の影より心密に題目を
唱え居り候。何時しか当家にも大
声高らかに題目のひゞき渡る時
を祈り正宗の経文を唱えられ度く
其の日を旭日の登るが如くに心待
居り候。世の移り変りは弓より
はなつ矢よりも早しと申し候へ
ども、此の信心にて其れを教え
る事も出来候。河川が逆流
し夏雪が地下より吹き上げ
候ども信心の心弛む事かたく/\
戒めおき候。家が栄えるも滅るも
心信の強弱にて候へば、此の経文題目
大聖人の申される通り行じ候はば、
さら/\滅る事有るべからず、
此れ疑う事無し。
経文を父として題目を母として一早く
正宗に帰する事を願ひ申し
候也。
弘化参年十二月十五日
久保専朴 病床にて
妙教H5-12-50
大日蓮号外H030125-28B
参考 http://www10.plala.or.jp/koin/koinhentaigana.html
昔、某所にてタマタマ見かけた妙教誌にこの遺状の写真が載っていた。これは貴重だなぁと思って、携帯のカメラで撮ったデータがHDDから見つかった。
今見ても確かに貴重である。これはちゃんとスキャニングして確保しておかねばと思い、いつの妙教だったか調べた。
妙教 平成5年12月号の50頁だった。
ネットで「久保家子孫代々」で検索すると、書き下したテキストデータが見つかるが、どうもそこはそうは読まないだろう?という訝しい点があったので、自分なりに直してみたのが上記のテキストである。
変体仮名、が多用されていて、取っ付きづらい。Koin変体仮名 サイトの情報を大いに参照させて貰い、勉強になった。
何だったか忘れたが、誰かの論文で金沢法難を扱っていたのを読んだ記憶がある。
コメント