12月15日筆の顕立正意抄を拝しています。 その中に瞻婆城の長者の話が出ています。 原典を確認していて興味深かったので紹介します。 あらすじはこうです。 世界一の城である瞻婆城の長者は跡取りがいなかった 六師外道に祈願したら妻が懐妊した。 気の早い長者はたまらず腹の中の子は男だろうか女だろうかと聞くと外道は女の子であると答える。 長者は顔を曇らし、友人がその訳を尋ねると斯く斯く然々で腹の子は女子で自分の財宝を継がせるに足らないからだと答える すると友人は鼻で笑って 外道の優樓頻螺迦葉兄弟は誰の弟子か仏か、外道か?外道が最高の智慧者なら何故迦葉尊者は外道の師匠を捨てて仏についたのか、仏こそ最高の智者なのだ。 外道の占いなど信ずるに足りぬ 釈尊は近くにいるから訪ねてみようぜ と勧めました。 長者が釈尊を訪ねて外道と同じことを尋ねると、は腹の子は福徳を持った男の子である。と答えた。 これを聞いた外道は釈尊が言うなら本当に福徳の男子が生まれてくるに違いないと思い、嫉妬心から毒薬を作り、長者に「これは臨月に飲ませればよい子が生まれます」と渡した。長者がその通りにした所、妻が死んでしまった。 外道は喜んで「釈尊は長者の子は福徳の男子だと言っていたが、子を産む前に母が死んでしまった。」と城中に言いふらした。 長者は釈尊の所に来て「あなたは信じられない」と言った。 世間の法に準じて城外で火葬にした。 釈尊は道眼をもって見、振り返って「私の衣を持ってこい」と命じた。 私は行ってあの邪見を打ち砕いてこようと思う。 毘沙門天は摩尼跋陀大に勧めてこういった「釈尊が火葬場へ行こうとしている。直ちに掃除して獅子座を設けよ」 釈尊が火葬場へ行こうとしているのを察知した外道は 「釈尊がここへ来たら肉を噉わんとするだろう」 と悪口を言ったその時信心の弱い多くの信徒たちが 「長者の奥さんが亡くなったのは願かけが叶わなかったことになるのじゃないか?」 阿難は「ちょっと待て、今釈尊がくるから」 釈尊が来て長者が難詰した 「あなたは男の子が生まれると言ったな、仏に二言はないというのに、母親が死んでしまったら子供が生まれるはずがないではないか」 釈尊は「長者よあなたはあの時腹の子は男か女かを聞いただけで母親の寿命までは尋ねなかったではないか。仏に二言はない。腹の子は男である」 この時火葬中の死体の腹が裂け、中から子供が出て火の中に座った。 外道はこれを見て「怪しいぞ、これは釈尊の幻術だ!」 といって釈尊の幻術の様を色々述べるのですが、 その中に T12n0375_p0789b13?F9F8 摩耶所生母既是幻。子不得非。沙門瞿曇無實知見。 母親の摩耶夫人もすでに幻ならその子もまた非である。だから釈尊は實知見なんぞ持っていないのである! とあって、なんだかキリスト教のドケティズムみたいだなと思いました。 その後の話はどうだったかな、もう少し原典の大正蔵をみてみよう。 後日の追記を待て ---- {{category 説話}}