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『三種教相事』
(★58㌻)
種熟脱を論ず。本門。種は久遠、熟は中間大通と今日の四味、脱は法華なり。玄の十 初紙 に云はく「若し余経を弘めんには、教相を明かさゞれども義に於て傷むこと無し。若し法華を弘めんには教相を明かさゞれば文義欠くること有り」文。籤の三 五紙 に云はく「若し法華に依らば凡そ一義を消するに、皆一代を混じて其の始末を窮む」文。玄の一 十四 に云はく「教相に三と為す。一には根性の融不融の相、二には化導の始終不始終の相、三には師弟の遠近不遠近の相なり。教とは聖人下に被らしむるの言なり。相とは同異を分別するなり。一には声聞の聖人、二には縁覚の聖人、三には菩薩の聖人、四には仏果の聖人。前の三人の聖人は分証の聖人、後の一は極果の聖人なり」と。籤の一 本四十四 に云はく「前の両意は迹門に約し、後の一意は本門に約す」と。
華厳
寂滅道場を以て元始と為すなり 阿含
第一根性の融不融の相 方等 各得道あり
種熟脱を論ぜず 般若
法華
籤の一 本四十五 に云はく「初めの根性の中に二と為す。初めには八教を明かして以て昔を弁じ、次に今経を明かして以て妙を顕はす」文。弘の三 上五 に云はく「此の文既に法華の経の意に依れり。而して釈名等大概彼に準ず。相待は是麁なり。義麁に待して妙を論ずるに当たれり。絶待は是妙なり。義麁を開して妙を論ずるに当たれり。此の二を亦廃麁とも開麁とも名づく」文。
華厳の円 別は麁、円は妙。相待妙。麁妙を判ず。
方等の円 前三を麁と為し、後一を妙と為す。相待妙。麁妙を判ず。
般若の円 前二を麁と為し、後一を妙と為す。相待妙。麁妙を判ず。
法華の円 相待妙。麁妙を判ず。 約教。前三教を麁と為し、後一を妙と為す。
約部。前四味を麁と為し、後一を妙と為す。 絶待妙。麁妙を開す。
相待妙 約教。前三教を麁と為す。横に待す。後一を妙と為す。
約部。前四味を麁と為す。竪に待す。醍醐を妙と為す。
籤の六に云はく、 唐本は七、正直捨方便は相待、開方便は絶待の意なり。 玄の五に云はく「破三顕一は相待の意なり。即三是一は絶待の意なり」文。籤の一 本五十一 に云はく「又今文の諸義は、凡そ一々の科、皆先づ四教に約して以て麁妙を判ずるときは、則ち前の三を麁と為し、
平成新編御書 ―58㌻―
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