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『一念三千理事』


(★102㌻)
 
衆生世間 止に云はく「十界の衆生寧ろ異ならざることを得んや、故に衆生世間と名づくなり」文。国土世間 止に云はく「十種の所居通じて国土世間と称す」文。五陰とは、新訳には五蘊と云ふなり。陰とは聚集の義なり。一には色陰、五色是なり。二に受陰、領納是なり。三に想陰、倶舎に云はく「想は像を取るを体と為す」文。四に行陰、造作是行なり。五に識陰、了別是識なり。止の五に婆沙を引いて云はく「識先づ了別し、次に受は領納し、想は相貎を取り、行は違従を起こし、色は行に由って感ず」と。
  百界千如三千世間の事
  十界互具即百界と成る。地獄 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是地下赤鉄 餓鬼 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是地下 畜生 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是水陸空 修羅 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是海畔底 人 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是須弥四州 天 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是宮殿 声聞 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是同居土 縁覚 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是同居土 菩薩 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是同居方便実報 仏 衆生世間十如是 五陰世間 十如是 国土世間 十如是寂光土 止観の五に云はく「心と縁と合すれば則ち三種の世間あり、三千の性相皆心より起こる」文。弘の五に云はく「故に止観に正しく観法を明かすに至って、並びに三千を以て指南と為す。乃ち是終窮究竟の極説なり。故に序の中に説己心中所行法門と云ふ。良に以有るなり。請ふ尋ね読まん者心に異縁無かれ」文。又云はく「妙境の一念三千を明かさずんば、如何ぞ一に一切を摂することを識るべけん。三千は一念の無明を出でず。是の故に唯苦因苦果のみ有り」文。又云はく「一切の諸業、十界・百界・千如・三千世間を出でず」文。籤の二に云はく「仮は即ち衆生、実は即ち五陰及以国土、即ち三世間なり。千の法は皆三なり。故に三千有り」文。弘の五に云はく「一念の心に於て十界に約せざれば事を収むること遍からず。三諦に約せざれば理を摂すること周からず。十如を語らざれば因果備はらず。三世間無くんば依正尽きず」文。記の一に云はく「若し三千に非ざれば摂すること則ち遍からず。若し円の心に非ざれば三千を摂せず」文。玄の二に云はく「但衆生法は太だ広く、仏法は太だ高し。初学に於て難しと為し、心は則ち易しと為す」文。

 

平成新編御書 ―102㌻―

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