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『法華真言勝劣事』


(★305㌻)後
 
 №0043 法華真言勝劣事   (文永元年七月二九日  四三歳)
  東寺の弘法大師空海の所立に云はく「法華経は猶華厳経に劣れり、何に況んや大日経に於てをや」云云。慈覚大師円仁・智証大師円珍・安然和尚等の云はく「法華経の理は大日経に同じ。印を真言との事に於ては是猶劣れるなり」云云。 其の所釈余処に之をだ出す。 空海は大日経、菩提心論等に依って十住心を立て顕密の勝劣を判ず。其の中に第六に他縁大乗心は法相宗、第七に覚心不生心は三論宗、第八に如実一道心は天台宗、第九に極無自性心は華厳宗、第十に秘密荘厳心は真言宗なり。此の所立の次第は浅き従り深きに至る。其の証文は大日経の住心品と菩提心論とに出づと云へり。然るに出だす所の大日経の住心品を見て他縁大乗・覚心不生・極無自性を尋ぬるに名目経文に之有り。
 
 

平成新編御書 ―305㌻―

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