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『秋元殿御返事』


(★334㌻)後
 
 №0049 秋元殿御返事   (文永二年一月一一日  四四歳)
 
  御文委しく承り候ひ畢んぬ。御文に云はく、末法の始め五百年にはいかなる法を弘むべしと、思ひまいらせ候ひしに、聖人の仰せを承り候に、法華経の題目に限りて弘むべき由聴聞申して御弟子の一分に定まり候。殊に五節供はいかなる由来、何なる所表、何を以て正意としてまつり候べく候や云云。
  夫此の事は日蓮委しく知る事なし。然りと雖も粗意得て候。根本大師の御相承ありげに候。総じて真言天台両宗の習ひなり。委しくは曽谷殿へ申して候。次いでの御時は御談合あるべきか。
  先づ五節供の次第を案ずるに、妙法蓮華経の五字の次第の祭りなり。正月は妙の一字のまつり、天照太神を歳の神とす。三月三日は法の一字のまつりなり、辰を以て神とす。五月五日は蓮の一字のまつりなり、午を以て神とす。七月七日は華の一字の祭りなり、申を以て神とす。九月九日は経の一字のまつり、戌を以て神とす。
  此くの如く心得て、南無妙法蓮華経と唱へさせ給へ。「現世安穏後生善処」疑ひなかるべし。法華経の行者をば一切の諸天、不退に守護すべき経文分明なり。経の第五に云はく「諸天昼夜に常に法の為の故に之を衛護す」云云。
 

平成新編御書 ―334㌻―

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