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『経王御前御書』


(★635㌻)後
 
 №0129
     経王御前御書   文永九年  五一歳
 
  種々御送り物給び候ひ畢んぬ。法華経第八妙荘厳王品と申すには、妙荘厳王と浄徳夫人と申す后は浄蔵・浄眼と申す太子に導かれ給ふと説かれて候。経王御前を儲けさせ給ひて候へば、現世には跡をつぐべき孝子なり。後生には又導かれて仏にならせ給ふべし。今の代は濁世と申して乱れて候世なり。其の上眼前に世の中乱れて見え候へば、皆人今生には弓箭の難に値って修羅道におち、後生には悪道疑ひなし。而るに法華経を信ずる人々こそ仏には成るべしと見え候へ。御覧ある様にかゝる事出来すべしと見えて候。故に昼夜に人に申し聞かせ候ひしを、用ひらるゝ事こそなくとも、科に行なはるゝ事は謂はれ無き事なれども、古も今も人の損ぜんとては善き言を用ひぬ習ひなれば、終には用ひられず世の中亡びんとするなり。是偏に法華経釈迦仏の御使ひを責むる故に、梵天・
 

平成新編御書 ―635㌻―

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