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『さじき殿御返事』


(★663㌻)
 
 №0136
     さじき殿御返事   文永一〇年四月二六日  五二歳
 
  滝王丸之を遣使さる。
  昔国王は自身を以て床座と為し、千才の間阿私仙に仕へ奉り妙法蓮華経の五字を習ひ持つ、今の釈尊是なり。今の施主妙一比丘尼は貧道の身を扶けんとて小童に命じ、之を使はして法華経の行者に仕へ奉らしむ。彼は国王此は卑賤。彼は国に畏れなし、此は勅勘の身。此は末代の凡女、彼は上代の聖人なり。志既に彼に超過す。来果何ぞ斉等ならざらんや。何ぞ斉等ならざらんや。
  弁殿は今年は鎌倉に住して衆生を教化せよ。恐々謹言。
   卯月二十六日                   日 蓮 花押
    さじき
   妙一尼御前
 

平成新編御書 ―663㌻―

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