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『諸法実相抄』


(★664㌻)後
 
 №0138
     諸法実相抄 文永一〇年五月一七日  五二歳
 
  問うて云はく、法華経の第一方便品に云はく「諸法実相乃至本末究竟等」云云。此の経文の意如何。答へて云はく、下地獄より上仏界までの十界の依正の当体、悉く一法ものこさず妙法蓮華経のすがたなりと云ふ経文なり。依報あるならば必ず正報住すべし。釈に云はく「依報正報常に妙経を宣ぶ」等云云。又云はく「実相は必ず諸法、諸法は必ず十如、十如は必ず十界、十界は必ず身土」云云。又云はく「阿鼻の依正は全く極聖の自心に処し、毘盧の身土は凡下の一念を逾えず」云云。此等の釈義分明なり。誰か疑網を生ぜんや。されば法界のすがた、妙法蓮華経の五字にかはる事なし。釈迦・多宝の二仏と云ふも、妙法等の五字より用の利益を施し給ふ時、事相に二仏と顕はれて宝塔の中にしてうなづき合ひ給ふ。
  かくの如き等の法門、日蓮を除きては申し出だす人一人もあるべからず。天台・妙楽・
 

平成新編御書 ―664㌻―

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