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『弁殿尼御前御書』


(★686㌻)後
 
 №0145
     弁殿尼御前御書  文永一〇年九月一九日  五二歳
 
  貞任は十二年にやぶれぬ。将門は八年にかたぶきぬ。第六天の魔王、十軍のいくさををこして、法華経の行者と生死海の海中にして、同居穢土をとられじ、うばはんとあらそう。日蓮其の身にあひあたりて、大兵ををこして二十余年なり。日蓮一度もしりぞく心なし。しかりといえども弟子等・壇那等の中に臆病のもの、大体或はをち、或は退転の心あり。尼ごぜんの一文不通の小心に、いまゝでしりぞかせ給はぬ事申すばかりなし。其の上、自身のつかうべきところに、下人を一人つけられて候事、定めて釈迦・多宝・十方分身の諸仏も御知見あるか。恐々謹言。
    九月十九日                日 蓮 花押
  弁殿尼御前に申させ給へ
 

平成新編御書 ―686㌻―

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