←次へ  TOPへ↑  前へ→  

『上野殿御書』


(★903㌻)前
 №0214
     妙心尼御前御返事   建治元年八月二五日  五四歳
 
  すゞの御志送り給び候ひ了んぬ。
  をさなき人の御ために御まぼりさづけまいらせ候。この御まぼりは、法華経のうちのかんじん、一切経のげんもくにて候。たとへば、天には日月、地には大王、人には心、たからの中には如意宝珠のたま、いえにははしらのやうなる事にて候。
  このまんだらを身にたもちぬれば、王を武士のまぼるがごとく、子ををやのあいするがごとく、いをの水をたのむがごとく、草木のあめをねがうがごとく、とりの木をたのむがごとく、一切の仏神等のあつまりまぼり、昼夜にかげのごとくまぼらせ給ふ法にて候。よくよく御信用あるべし。あなかしこ、あなかしこ。恐々謹言。
  八月二十五日               日  蓮 花押
 妙心尼御前御返事
 

平成新編御書 ―903㌻―

provided by