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『種種御振舞御書』


(★1072㌻)前
 少しも違はざるは当時の世にて候。日蓮は南無妙法蓮華経と唱ふる故に、二十余年所を追はれ、二度まで御勘気を蒙り、最後には此の山にこもる。此の山の体たらくは、西は七面の山、東は天子のたけ、北は身延山、南は鷹取の山。四つの山高きこと天に付き、さがしきこと飛鳥もとびがたし。中に四の河あり。所謂富士河・早河・大白河・身延河なり。其の中に一町ばかり間の候に庵室を結びて候。昼は日をみず、夜は月を拝せず。冬は雪深く、夏は草茂り、問ふ人希なれば道をふみわくることかたし。殊に今年は雪深くして人問ふことなし。命を期として法華経計りをたのみ奉り候に御音信ありがたく候。しらず、釈迦仏の御使ひか、過去の父母の御使ひかと申すばかりなく候。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。
 

平成新編御書 ―1072㌻―

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