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『食物三徳御書』


(★1321㌻)後
 №0349
     食物三徳御書    弘安元年  五七歳
 
 たからとす。山の中には塩をたからとす。魚は水ををやとし鳥は木を家とす。人は食をたからとす。かるがゆへに大□□王は民ををやとし、民は食を天とすとかゝれたり。食には三つの徳あり。一には命をつぎ、二にはいろをまし、三には力をそう。人に物をほどこせば我が身のたすけとなる。譬へば人のために火をともせば我がまへあきらかなるがごとし。悪をつくるものをやしなへば命をますゆへに気ながし。色をますゆへに眼にひかりあり。力をますゆへに、あしはやくてきく。かるがゆへに食をあたへたる人、かへりていろもなく、気もゆわく、力もなきほうをうるなり。
  一切経と申すは紙の上に文字をのせたり。譬へば虚空に星月のつらなり、大地に草木の生ぜるがごとし。この文字は釈迦如来の気にも候なり。気と申すは生気なり。この生気に二あり。一には九界
 

平成新編御書 ―1321㌻―

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