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『就註法華経口伝』


(★1737㌻)
 車とは大乗の法なり、門とは円教の詮なり」と。
  御義口伝に云はく、一門とは法華経の信心なり、車とは法華経なり、牛とは南無妙法蓮華経なり、宅とは煩悩なり。自身法性の大地を生死生死と転り行くなり云云。
    第九 今此三界等の事  文句の五に云はく「次に今此三界より下第二に一行半は、上の所見、諸衆生為生老病死之所焼煮を頌して第二の所見、火の譬へを合す。唯我一人より下第三に半偈は上の仏見此已便作是念を頌して驚入火宅を合するなり」と。
  御義口伝に云はく、此の文は一念三千の文なり。一念三千の法門は、迹門には生陰二千の世間を明かし、本門には国土世間を明かすなり。又云はく、今此三界の文は国土世間なり。其中衆生の文は五陰世間なり。而今此処多諸患難唯我一人の文は衆生世間なり。又云はく、今此三界は法身如来なり。其中衆生悉是吾子は報身如来なり。而今此処は応身如来なり。
 
    信解品六箇の大事
    第一 信解品の事  記の六に云はく「正法華には信楽品と名づく。其の義通ずと雖も楽は解に及ばず。今領解を明かす、何を以てか楽と云はんや」と。
  御義口伝に云はく、法華一部二十八品の題号の中、信解の題号此の品に之有り。一念三千も信の一字より起こり、三世諸仏の成道も信の一字より起こるなり。此の信の字は元品の無明を切る所の利剣なり。其の故は、信は無疑曰信とて疑惑を断破する利剣なり。解とは智慧の異名なり。信は価の如く解は宝の如し。
 

平成新編御書 ―1737㌻―

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