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『就註法華経口伝』


(★1753㌻)
    第四 出大音声の事
  御義口伝に云はく、我等衆生の朝夕吐く所の言語なり。大音声とは、権教は小音声、法華経は大音声なり。二十八品は小音声、題目は大音声なり。総じて大音声とは大は法界なり。法界の衆生の言語を妙法の音声と沙汰するを大音声とは云ふなり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るは大音声なり。又云はく、大とは空諦、音声とは仮諦なり、出とは中道なり云云。
    第五 見大宝塔住在空中の事
  御義口伝に云はく、見大宝塔とは我等が一身なり、住在空中とは我等衆生終に滅に帰する事なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉りて信心に住する処、空中に住在するなり。虚空会に住するなり。
    第六 国名宝浄彼中有仏号曰多宝の事
  御義口伝に云はく、宝浄世界とは我等が母の胎内なり、有仏とは諸法実相の仏なり。爰を以て多宝仏と云ふなり。胎内とは煩悩を云ふなり。煩悩の淤泥の中に真如の仏あり。我等衆生の事なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るを当体蓮華の仏と云ふなり云云。
    第七 於十方国土有説法華経処我之塔廟為聴是経故涌現其前為作証明讃言善哉の事
  御義口伝に云はく、十方とは十界なり、法華経とは我等衆生流転の十二因縁なり。仍って言語の音声を指すなり。善哉とは善悪不二、邪正一如なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る処を多宝涌現と云ふなり。
    第八 南西北方四惟上下の事
  御義口伝に云はく、四方四惟上下合して十方なり、即ち十界なり。十界の衆生共に三毒の光之有り。是を白毫と云ふなり。一心中道の智慧なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るは十界同時に光指すなり。
 

平成新編御書 ―1753㌻―

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