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『戒法門』


(★13㌻)
 は雪の山、東には木の山、西には金の山、中には土の山なり。空の雲も五戒なり。青き雲は不殺生戒となる。白き雲は不盗戒となる。黒き雲は不邪婬戒なり。黄なる雲は不妄語戒なり。赤き雲は不飲酒戒なり。雨空より降るに又五つの味あり。すき味の雨降りては、青き花一切すき菓をいだす。からき味の雨は白き花一切のからき菓をいだす。しわはゆき味の雨降りては、黒き花一切のしわはゆき菓をいだす。あまき味の雨降りては、黄なる花一切のあまき菓をいだす。苦き味の雨降りては、赤き花一切のにがき味の菓をいだす。又春七十二日は東、不殺生戒。夏七十二日は南、不飲酒戒。秋七十二日は西、不盗戒。冬七十二日は北、不邪婬戒なり。四季の末の土用七十二日は中央、不妄語戒なり。又天地父母となりまします。父母交懐の時、父の淫は白く母の淫は赤し。赤白の二渧もろともに五戒より生ず。父母の精血下りて、父の淫は骨となり、母の淫は肉となる。二つの足、二つの手、一つの頭、是も五戒より出でたり。又子の腹の中に肝の臓と云ふ物あり。七葉にして色青し。母のすき物を願ひし時出で来たる物なり。其の中に魂と云ふ神あり。眼に出でて物を見る。東方の空に歳星と申す星あり。不殺生戒の人を護らんと誓ひし故に子の神となる。又母のからき物を願ひし時、子の腹に肺の臓と云ふ物出で来て、其の色白く其の形八葉にして蓮華なり。其の内に魄と云ふたましひ有りて鼻に出でて物をかぐ。西の空に太白星と云ふ星あり。不盗戒の人を護らんと誓ひし故なり。又母のにがき物を願ひしかば、子の腹に心の臓と云ふ物出で来て、其の色赤く、其の形鶏の卵をさかさまに立てたるが如し。其の内に神と云ふたましひ有りて、舌に出でて物を味はふ。南の空に惑星と云ふ星あり、不飲酒戒の人を護らんと誓ひし故なり。又母のしわはゆき物を願ふに依って、子の腹に腎の臓と云ふ物出で来て、其の色黒く其の形半月なり。其の内に志と云ふたましひ有りて、耳に出でて物を聞く。北の空に辰星と云ふ星あり、不邪婬戒の人を護らんと誓ひし故なり。又母の甘き物を願ひし時、子の腹に脾の臓と云ふ物出で来て、其の色黄にして其の形一葉四角なり。内に意と云ふたましひあり。
 

平成新編御書 ―13㌻―

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