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『念仏無間地獄抄』


(★45㌻)前
 止め置くべからず。仍って在々所々に持する所并びに其の印版を大講堂に取り上げて、三世の仏恩を報ぜんが為、之を焼失せしめ畢んぬ。又云はく、法然上人の墓所をば感神院の犬神人に仰せ付けて破却せしめ畢んぬ。
  嘉禄三年十月十五日、隆真法橋申して云はく、専修念仏は亡国の本たるべき旨文理之有りと。
  山門より雲居寺に送る状に云はく、邪師源空、存生の間には永く罪条に沈み、滅後の今は且つ死骨を刎ねられ、其の邪類住蓮・安楽は死を原野に賜ひ、成覚・薩生は刑を遠流に蒙る。殆ど此の現罰を以て其の後報を察すべし云云。
  嗚呼世法の方を云へば、違勅の者と成り、帝王の勅勘を蒙り、今に御赦免の天気之無し。心有る臣下万民誰人か彼の宗に於て布施供養を展ぶべきや。仏法の方を云はゞ、正法誹の罪人たり、無間地獄の業類なり。何れの輩か念仏門に於て恭敬礼拝を致すべきや。庶幾くは末代今の浄土宗、仏在世の祖師舎利弗・阿難等の如く浄土宗を抛ちて法華経を持ち、菩提の素懐を遂ぐべき者か。
                               日蓮花押
 

平成新編御書 ―45㌻―

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