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『三八教』


(★412㌻)
 
 №0075 三八教   (文永六年三月一六日  四八歳)
 
  妙法蓮華経。
  玄義の一に云はく「教相を 経の一字三八教あり 三と為す。一には根性の融不融の相、二には化導の始終不始終の相、三には師弟の遠近不遠近の相」と。
  一に根性の融不融の相とは、籤の一に云はく「列中三意とは、前の両意は迹門に約し後の一意は本門に約す」と。又云はく「初めの根性の中に二と為す、初めには八教を明かして以て昔を弁じ、次には今経を明かして以て妙を顕はす」と。玄の一に云はく「云何が分別せん。日の初めて出でて先づ高山を照らすが如し○頓教の相と名づけ○乳味を出だす相なり。次に幽谷を照らす○此は三蔵の如し○漸教の相と名づけ○酪味の相と名づく。次に平地を照らす○此は浄名方等の如し○猶是漸教なり○生蘇味の相なり○復た義あり○具に大品の如し○猶是漸教なり○熟蘇味の相と名づく。復た義あり、日光普く照らして高下悉く均平なり。土圭をもて影を測るに縮ならず盈ならず。若しは低頭若しは小音若しは散乱若しは微善、皆仏道を成ず。人として独り滅度を得ることあらしめずして皆如来の滅度を以て之を滅度す。具に今経の如し。若し法を縁に被らしむるに約せば漸円教と名づく。若し説の次第に約すれば醍醐味の相なり」と。又云はく「若し不定を論ずれば義則ち然らず○此乃ち顕露不定なり」と。又云はく「秘密不定は其の義然らず」と。又云はく「復た甚だ多しと雖も、亦漸頓不定秘密を出でず」と。又云はく「今の法華は是顕露にして秘密に非ず、是漸頓にして漸々に非ず。是合にして不合に非ず。是醍醐にして四味に非ず。是定にして不定に非ず。此くの如く分別するに此の経と衆経の相と異なるなり」と。
 

平成新編御書 ―412㌻―

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