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『善無畏抄』


(★509㌻)前
 謗法無くして此の経を持つ女人は十方虚空に充満せる慳貪・嫉妬・瞋恚・十悪・五逆なりとも、草木の露の大風にあえるなるべし。三冬の氷の夏の日に滅するが如し。但滅し難き者は法華経謗法の罪なり。譬へば三千大千世界の草木を薪と為すとも、須弥山は一分も損じ難し。縦令七つの日出でて百千日照らすとも、大海の中をばかわかしがたし。設ひ八万聖教を読み大地微塵の塔婆を立て、大小乗の戒行を尽くし、十方世界の衆生を一字の如くに為すとも、法華経謗法の罪はきゆべからず。我等過去現在未来の三世の間に仏に成らずして六道の苦を受くるは偏に法華経誹謗の罪なるべし。女人と生まれて百悪身に備ふるも、根本此の経誹謗の罪より起これり。
  然者此の経に値ひ奉らむ女人は皮をはいで紙と為し、血を切りてすみとし、骨を折りて筆とし、血のなんだを硯の水としてかきたてまつるともあくごあるべからず。何に况んや衣服・金銀・牛馬・田畠等の布施を以て供養せむはもののかずにてかずならず。
 

平成新編御書 ―509㌻―

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