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『木絵二像開眼の事』
(★636㌻)後
№0130
木絵二像開眼の事 文永九年 五一歳
仏に三十二相有り、皆色法なり。最下の千輻輪より終はり無見頂相に至るまでの三十一相は、可見有対色なれば書きつべし作りつべし。梵音声の一相は、不可見無対色なれば書くべからず作るべからず。仏滅後は木画の二像あり。是三十一相にして梵音声かけたり。故に仏に非ず。又心法かけたり。生身の仏と木画の二像を対するに天地雲泥なり。何ぞ涅槃の後分には生身の仏と、滅後の木画の二像と功徳斉等なりといふや。又大瓔珞経には、木画の二像は生身の仏にはをとれりととけり。
木画の二像の仏の前に経を置けば、三十二相具足するなり。但し心なければ、三十二相を具すれども必ずしも仏にあらず。人天も三十二相あるがゆへに。木絵の三十一相の前に五戒経を置けば、此の仏は輪王とひとし。十善論と云ふを置けば、帝釈とひとし。出欲論と云ふを置けば、梵王とひとし。全く仏にあらず。
平成新編御書 ―636㌻―
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