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『呵責謗法滅罪抄』
(★712㌻)
白癩病等と見えたり。日蓮は法華経の明鏡をもて自身に引き向かへたるに都てくもりなし。過去の謗法の我が身にある事疑ひなし。此の罪を今生に消さずば未来に争でか地獄の苦をば免るべき。過去遠々の重罪をば何にしてか皆集めて今生に消滅して未来の大苦を免れんと勘へしに、当世時に当たって謗法の人々国々に充満せり。其の上国主既に第一の誹謗の人たり。此の時此の重罪を消さずば何の時をか期すべき。日蓮が小身を日本国に打ち覆ふてのゝしらば、無量無辺の邪法の四衆等、無量無辺の口を以て一時に訾るべし。爾の時に国主は謗法の僧等が方人として日蓮を怨み、或は頚を刎ね、或は流罪に行なふべし。度々かゝる事出来せば無量劫の重罪一生の内に消えなんと謀てたる大術少しも違ふ事なく、かゝる身となれば所願も満足なるべし。
然れども凡夫なれば動もすれば悔ゆる心有りぬべし。日蓮だにも是くの如く侍るに、前後も弁へざる女人なんどの、各仏法を見ほどかせ給はぬが、何程か日蓮に付いてくやしとおぼすらんと心苦しかりしに、案に相違して日蓮よりも強盛の御志どもありと聞こへ候は偏に只事にあらず、教主釈尊の各の御心に入り替はらせ給ふかと思へば感涙押さへ難し。妙楽大師の釈に云はく記七「故に知んぬ、末代一時も聞くことを得、聞き已はって信を生ずる事宿種なるべし」等云云。又云はく弘二「運像末に在りて此の真文を矚る宿妙因を殖ゑたるに非ざれば実に値ひ難しと為す」等云云。
妙法蓮華経の五字をば四十余年此を祕し給ふのみにあらず、迹門十四品に猶是を抑へさせ給ひ、寿量品にして本果本因の蓮華の二字を説き顕はし給ふ。此の五字をば仏、文殊・普賢・弥勒・薬王等にも付嘱せさせ給はず、地涌の上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩等を寂光の大地より召し出だして此を付嘱し給ふ。儀式たゞ事ならず、宝浄世界の多宝如来、大地より七宝の塔に乗じて涌現せさせ給ふ。三千大千世界の外に四百万億那由他の国土を浄め、高さ五百由旬の宝樹を尽一箭道に殖ゑ並べて、宝樹一本の下に五由旬の師子の座を敷き並べ、
平成新編御書 ―712㌻―
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