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『呵責謗法滅罪抄』


(★713㌻)
 十方分身の仏尽く来たり坐し給ふ。又釈迦如来は垢衣を脱いで宝塔を開き多宝如来に並び給ふ。譬へば青天に日月の並べるが如し。帝釈と頂生王との善法堂に在すが如し。此の界の文殊等、他方の観音等、十方の虚空に雲集せる事、星の虚空に充満するが如し。此の時此の土には華厳経の七処八会、十方世界の台上の盧舎那仏の弟子、法慧・功徳林・金剛幢・金剛蔵等の十方刹土塵点数の大菩薩雲集せり。方等の大宝坊雲集の仏菩薩、般若経の千仏・須菩提・帝釈等、大日経の八葉九尊の四仏・四菩薩、金剛頂経の三十七尊等、涅槃経の倶尸那城へ集会せさせ給ひし十方法界の仏菩薩をば、文殊・弥勒等互ひに見知して御物語是ありしかば、此等の大菩薩は出仕に物狎れたりと見え候。今此の四菩薩出でさせ給ひて後、釈迦如来には九代の本師、三世の仏の御母にておはする文殊師利菩薩も、一生補処とのゝしらせ給ふ弥勒等も、此の菩薩に値ひぬれば物とも見えさせ給はず。譬へば山がつが月卿に交はり、猿猴が師子の座に列なるが如し。此の人々を召して妙法蓮華経の五字を付嘱せさせ給ひき。付嘱も只ならず十神力を現じ給ふ。釈迦は広長舌を色界の頂に付け給へば、諸仏も亦復是くの如く、四百万億那由他の国土の虚空に諸仏の御舌、赤虹を百千万億並べたるが如く充満せしかば、おびたゞしかりし事なり。是くの如く不思議の十神力を現じて、結要付嘱と申して法華経の肝心を抜き出だして四菩薩に譲り、我が滅後に十方の衆生に与へよと慇懃に付嘱して、其の後又一つの神力を現じて、文殊等の自界他方の菩薩・二乗・天人・竜神等には一経乃至一代聖教をば付嘱せられしなり。本より影の身に随って候様につかせ給ひたりし迦葉・舎利弗等にも此の五字を譲り給はず。此はさてをきぬ。文殊・弥勒等には争でか惜しみ給ふべき。器量なくとも嫌ひ給ふべからず。方々不審なるを、或は他方の菩薩は此の土に縁少なしと嫌ひ、或は此の土の菩薩なれども娑婆世界に結縁の日浅し、或は我が弟子なれども初発心の弟子にあらずと嫌はれさせ給ふ程に、四十余年並びに迹門十四品の間は一人も初発心の御弟子なし。此の四菩薩こそ五百塵点劫より已来教主釈尊の御弟子として、
 

平成新編御書 ―713㌻―

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