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『法華行者値難事』


(★720㌻)
 寒風に衣を索む等なり。其の上一切の外道の讒奏は上に引くが如し。記文の如くんば天台・伝教も仏記に及ばず。
  之を以て之を案ずるに末法の始めに仏説の如き行者世に出現せんか。而るに文永十年十二月七日武蔵前司殿より佐渡国へ下す状に云はく、自判之在り
  佐渡国の流人の僧日蓮、弟子等を引率し、悪行を巧むの由其の聞こえ有り。所行の企て甚だ以て奇怪なり。今より以後、彼の僧に相随はんの輩に於ては炳誡を加へしむべし。猶以て違犯せしめば、交名を注進せらるべきの由候所なり。仍って執達件の如し。
     文永十年十二月七日        沙門 観 恵上る
   依智六郎左衛門尉殿等云云。
  此の状に云はく「悪行を巧む」等云云。外道が云はく「瞿曇は大悪人なり」等云云。又九横の難一々に之在り。所謂琉璃殺釈と乞食空鉢と寒風索衣とは仏世に超過せる大難なり。恐らくは天台・伝教も未だ此の難に値ひたまはず。当に知るべし、三人に日蓮を入れて四人と為す。法華経の行者末法に有るか。喜ばしいかな、況滅度後の記文に当たれり。悲しいかな、国中の諸人阿鼻獄に入りなんとす。茂きを厭うて子細に之を記さず。心を以て之を惟へ。
   文永十一年甲戌正月十四日        日  蓮 花押
  一切の諸人之を見聞し、志有らん人々は互ひに之を語れ。
 
  追って申す。竜樹・天親は共に千部の論師なり。但権大乗を申べて法華経をば心に存して口に吐きたまはず此に口伝有り。天台・伝教は之を宣べて本門の本尊と四菩薩・戒壇・南無妙法蓮華経の五字と、之を残したまふ。
 

平成新編御書 ―720㌻―

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