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『法華取要抄』
(★737㌻)
疑って云はく、今世に此の法を流布せば先相之有るや。答へて曰く、法華経に「如是相乃至本末究竟等」云云。天台の云はく「蜘虫掛かりて喜び事来たり、鳱鵲鳴いて客人来たる。小事すら猶以て是くの如し、何に況んや大事をや」取意。問うて曰く、若し爾れば其の相之有りや。答へて曰く、去ぬる正嘉年中の大地震、文永の大彗星、其れより已後今に種々の大なる天変地夭此等は此の先相なり。仁王経の七難・二十九難・無量の難・金光明経・大集経・守護経・薬師経等の諸経に挙ぐる所の諸難皆之有り。但し無き所は二三四五の日の出づる大難なり。而るを今年佐渡の国の土民口に云ふ、今年正月廿三日の申の時に西方に二つの日出現す。或は云ふ、三つの日出現す等云云。二月五日には東方に明星二つ並び出づ。其の中間は三寸計り等云云。此の大難は日本国先代にも未だ之有らざるか。最勝王経の王法正論品に云はく「変化の流星堕ち二つの日倶時に出で、他方の怨賊来たって国人喪乱に遭ふ」等云云。首楞厳経に云はく「或は二つの日を見し或は両つの月を見す」等。薬師経に云はく「日月薄蝕の難」等云云。金光明経に云はく「彗星数出で両つの日並び現じ薄蝕恒無し」と。大集経に云はく「仏法実に隠没せば乃至日月明かりを現ぜず」等。仁王経に云はく「日月度を失ひ時節返逆し、或は赤日出で黒日出で二三四五の日出づ、或は日蝕して光無く、或は日輪一重二三四五重輪現はる」等云云。此の日月等の難は七難・二十九難・無量の諸難の中に第一の大悪難なり。
問うて曰く、此等の大中小の諸難は何に因って之を起こすや。答へて曰く、最勝王経に云はく「非法を行ずる者を見て当に愛敬を生じ善法を行ずる人に於て苦楚して治罰す」等云云。法華経に云はく。涅槃経に云はく。金光明経に云はく「悪人を愛敬し善人を治罰するに由るが故に、星宿及び風雨皆時を以て行らず」等云云。大集経に云はく「仏法実に隠没せば乃至是くの如き不善業の悪王と悪比丘と我が正法を毀壊す」等。仁王経に云はく「聖人去る時七難必ず起こる」等。又云はく「法に非ず律に非ずして比丘を繋縛すること獄囚の法の如くす。爾の時に当たって法滅せんこと久しからず」等。
平成新編御書 ―737㌻―
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