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『法華取要抄』
(★738㌻)
又云はく「諸の悪比丘多く名利を求め国王・太子・王子の前に於て自ら破仏法の因縁・破国の因縁を説かん。其の王別へずして此の語を信聴せん」等云云。此等の明鏡を齎て当時の日本国に引き向かふるに天地を浮かぶること宛も符契の如し、眼有らん我が門弟は之を見よ。当に知るべし、此の国に悪比丘等有って、天子・王子・将軍等に向かって讒訴を企て聖人を失ふ世なり。問うて曰く、弗舍密多羅王・会昌天子・守屋等は月支・真旦・日本の仏法を滅失し、提婆菩薩・師子尊者等を殺害す、其の時何ぞ此の大難を出ださざるや。答へて曰く、災難は人に随って大小有るべし。正像二千年の間の悪王・悪比丘等は、或は外道を用ひ或は道士を語らひ或は邪神を信ず。仏法を滅失すること大なるに似れども其の科尚浅きか。今当世の悪王・悪比丘の仏法を滅失するは、小を以て大を打ち、権を以て実を失ふなり。人心を削りて身を失はず、寺塔を焼き尽くさずして自然に之を喪ぼす。其の失前代に超過せるなり。
我が門弟之を見て法華経を信用せよ。目を瞋らして鏡に向かへ。天の瞋るは人に失有ればなり。二つの日並び出づるは一国に二の国王を並ぶる相なり。王と王との闘諍なり。星の日月を犯すは臣の王を犯す相なり。日と日と競ひ出づるは四天下一同の諍論なり。明星並び出づるは太子と太子との諍論なり。是くの如く国土乱れて後上行等の聖人出現し、本門の三つの法門之を建立し、一四天・四海一同に妙法蓮華経の広宣流布疑ひ無き者か。
平成新編御書 ―738㌻―
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