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『四条金吾殿御返事』


(★775㌻)後
 №0179
     四条金吾殿御返事 文永一二年三月六日  五四歳
 
  「此経難持」の事、抑弁阿闍梨が申し候は、貴辺のかたらせ給ふ様に持たん者は「現世安穏後生善処」と承って、すでに去年より今日まで、かたの如く信心をいたし申し候処に、さにては無くして大難雨の如く来たり候と云云。まことにてや候らん、又弁公がいつはりにて候やらん。いかさまよきついでに不審をはらし奉らん。
  法華経の文に「難信難解」と説き玉ふは是なり。此の経をきゝうくる人は多し。まことに聞き受くる如くに大難来たれども「憶持不忘」の人は希なるなり。受くるはやすく、持つはかたし。さる間成仏は持つにあり。此の経を持たん人は難に値ふべしと心得て持つなり。「則為疾得無上仏道」は疑ひ無し。三世の諸仏の大事たる南無妙法蓮華経を念ずるを持つとは云ふなり。経に云はく「護持仏所嘱」といへり。
 

平成新編御書 ―775㌻―

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