←次へ
TOPへ↑
前へ→
『南条殿御返事』
(★882㌻)後
№0204
南条殿御返事 建治元年七月二日 五四歳
白麦一俵・小白麦一俵・河のり五でふ送り給び候ひ了んぬ。
仏の御弟子に阿那律尊者と申せし人は、をさなくしての御名をば如意と申す。如意と申すは心のおもひのたからをふらしゝゆへなり。このよしを仏にとひまいらせ給ひしかば、昔うえたるよに、縁覚と申す聖人を、ひえのはんをもて、供養しまいらせしゆへと答へさせ給ふ。迦葉尊者と申せし人は、仏についでも閻浮提第一の僧なり。俗にてをはせし時は長者にて、くらを六十、そのくらに金を百四十こくづつ入れさせ給ふ。それより外のたから申すばかりなし。この人のせんじゃうの御事を、仏にとひまいらせさせ給ひしかば、むかしうえたるよに、むぎのはんを一ぱひ供養したりしゆへに、忉利天に千反生まれて今釈迦仏に値ひまいらせ僧の中の第一とならせ給ひ、
平成新編御書 ―882㌻―
provided by