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『王舎城事』


(★974㌻)後
 №0242
     王舎城事 建治二年四月一二日  五五歳
 
  銭一貫五百文給び候ひ了んぬ。
  焼亡の事委しく承り候事悦び入って候。大火の事は仁王経の七難の中の第三の火難、法華経の七難の中には第一の火難なり。夫虚空をば剣にてきることなし、水をば火焼くことなし、聖人・賢人・福人・智者をば火やくことなし。例せば月氏に王舎城と申す大城は在家九億万家なり。七度まで大火をこりてやけほろびき。万民なげきて逃亡せんとせしに、大王なげかせ給ふ事かぎりなし。其の時賢人ありて云はく、七難の大火と申す事は聖人のさり、王の福の尽くる時をこり候なり。然るに此の大火万民をばやくといえども、内裏には火ちかづくことなし。知んぬ、王のとがにはあらず、万民の失なり。されば万民の家を王舎と号せば、火神、
 

平成新編御書 ―974㌻―

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