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『弥源太入道殿御消息』


(★1255㌻)後
 あらやすし。
  建長寺は所領を取られてまどひたる男どもの、入道に成りて四十・五十・六十なんどの時走り入りて候が、用は之無く、道隆がかげにしてすぎぬるなり。云ふに甲斐なく死ぬれば不思議にて候を、かくして暫くもすぎき。又は日蓮房が存知の法門を人に疎ませんとこそたばかりて候らめ。あまりの事どもなれば誑惑顕はれなんとす。但しばらくねうじて御覧ぜよ。根露れぬれば枝かれ、源渇けば流れ尽くると申す事あり。恐々謹言。
  八月十一日              日 蓮 花押
 弥源太入道殿
 

平成新編御書 ―1255㌻―

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