←次へ
TOPへ↑
前へ→
『上野殿御返事』
(★1350㌻)前
はた又歓喜増益仏の末の覚徳比丘の如し。王もにくみ民もあだむ。衣もうすく食もとぼし。布衣はにしきの如し。くさのははかんろとをもう。其の上去年の十一月より雪つもりて山里路たえぬ。年返れども鳥の声ならではをとづるゝ人なし。友にあらずばたれか問ふべきと心ぼそくて過し候処に、元三の内に十字九十枚、満月の如し。心中もあきらかに、生死のやみもはれぬべし。あはれなりあはれなり。こうへのどのをこそ、いろあるをとこと人は申せしに、其の御子なればくれないのこきよしをつたへ給へるか。あいよりもあをく、水よりもつめたき氷かなと、ありがたしありがたし。恐々謹言。
正月三日 日蓮花押
上野殿御返事
平成新編御書 ―1350㌻―
provided by