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『法華本門宗血脈相承事』


(★1676㌻)
 №S3
     法華本門宗血脈相承事(本因妙抄)      弘安五年一〇月一一日
 
                                  六一歳
                   本因妙之行者 日蓮 得之記之    
  予が外用の師・伝教大師は生年四十二歳の御時仏立寺の大和尚に値ひ奉り、義道を落居し、生死一大事の秘法を決したまふの日、大唐の貞元二十一太歳乙酉五月三日三大章疏を伝へ、各七面七重の口決を以て治定したまへり。所謂玄義七面の決とは、正釈の五重列名に約して決したまふ。
  一には依名判義の一面、名とは法の分位に於て施設す。体とは宰主を義と為す。宗とは所作の究竟なり、受持本因の所作に由って口に本果の究竟を唱ふ。用とは証りの体の本因本果の上の功能徳行なり。教とは誡を義と為す。誡とは本の為の迹なれば、迹は即ち有名無実・無得道なるを、実相の名題は本迹同じければ、本迹一致と思惟すべき事を大いに誡めんが為に、三種の教相を起こして種熟脱の論不論を立つる者なり。経文解釈明白たり。此くの如く文々句々の名の妙正の深義、本勝迹劣の本意を顕はし給ふなり。然りと雖も天台伝教の弘通は偏に理の上の法相、迹化の付嘱、像法の理位、観行五品の教主なれば、迹を表と為して衆を救ひ本を隠して裏に用ゆる者なり。甚深甚深、秘すべし秘すべし。
  二には仏意・機情二意の一面、仏意は観行・相似を本と為し、機情は理即・名字を本と為す。何れも体用を離れず、体用は法華の心智に依って一代五時の次第浅深を開拓す。次に機情とは大通結縁の衆のために四味の調養を設けて法華に来入す。本迹二門乃至文々句々此の二意を以て分別すべき者なり。
  三には四重浅深の一面、名の四重有り。一には名体無常の義、爾前の諸経諸宗なり。二には体実名仮、
 

平成新編御書 ―1676㌻―

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