←次へ  TOPへ↑  前へ→  

『就註法華経口伝』


(★1733㌻)
 五乗は是曲にして直に非ず。通別は偏傍にして正に非ず。今皆彼の偏曲を捨てゝ但正直の一道を説くなり」と。
  御義口伝に云はく、此の菩薩とは九界の第九に居したる菩薩なり。又一切衆生を菩薩と云ふなり。今は日蓮等の類なり。又諸天善神等迄も是菩薩なり。正直とは煩悩即菩提・生死即涅槃なり。さて一道とは南無妙法蓮華経なり。今末法にして正直の一道を弘むる者は日蓮等の類に非ずや。
    第八 当来世悪人聞仏説一乗迷惑不信受破法堕悪道の事  御義口伝に云はく、当来世とは末法なり、悪人とは法然・弘法・慈覚・智証等なり、仏とは日蓮等の類なり、一乗とは妙法蓮華経なり。不信の故に三悪道に堕すべきなり。
 
    譬喩品九箇の大事
    第一 譬喩品の事  文句の五に云はく「譬とは比況なり、喩とは暁訓なり○大悲息まず巧智無辺なれば更に樹を動かして風を訓へ扇を挙げて月を喩す」と。
  御義口伝に云はく、大悲とは母の子を思ふ慈悲の如し。今日蓮等の慈悲なり。章安の云はく「彼が為に悪を除くは即ち是彼が親なり」と。巧智とは南無妙法蓮華経なり。諸宗無得道の立義なり。巧於難問答の意なり。更とは在世に次いで滅後の事と意得べきなり。樹を動かすとは煩悩なり、風を訓ふるとは即ち菩提なり。扇を挙ぐとは生死なり、月を喩すとは即ち涅槃なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る時、大白牛車に乗じて直至道場するなり。記の五に云はく「樹と扇と風と月とは唯円教の理なり」と。又云はく「法説の実相は何ぞ隠れ、
 

平成新編御書 ―1733㌻―

provided by