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『就註法華経口伝』


(★1760㌻)
 仏受け取り玉ふ時は修得の宝珠なり。中に有るは修性不二なり。甚疾とは頓極・頓速・頓証の法門なり、則為疾得無上仏道なり。神力とは、神は心法なり。力とは色法なり。観我成仏とは、舎利弗の竜女が成仏と思ふは僻事なり。我が成仏ぞと観ぜよと責めたるなり。観に六即観之有り。爰元の観は名字即の観と心得べきなり。其の故は南無妙法蓮華経と聞ける処を「一念に道場に坐して成仏虚しからざるなり」と云へり。変成男子とは竜女も本地南無妙法蓮華経なり。其の意経文に分明なり。
 
    勧持品十三箇の大事
    第一 勧持の事
  御義口伝に云はく、勧とは化他、持とは自行なり。南無妙法蓮華経は自行化他に亘るなり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経を勧めて持たしむるなり。
    第二 不惜身命の事
  御義口伝に云はく、身とは色法、命とは心法なり。事理の不惜身命之有り。法華の行者田畠等を奪はるゝは理の不惜身命なり。命根を断たるゝを事の不惜身命と云ふなり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る者は事理共に値ふなり。
    第三 心不実故の事
  御義口伝に云はく、心不実故とは、法華最第一の経文を第三と読み、最為其上の経文を最為其下と読みて、法華経の一念三千を華厳大日等に之有りと、法華の即身成仏を大日経に取り入るゝ、此等は皆心不実故なり。
 

平成新編御書 ―1760㌻―

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