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『三種教相事』


(★59㌻)
 後の一を妙と為す。次に五味に約して以て麁妙を判ずるときは、則ち前の四味を麁と為し、醍醐を妙と為す。全く上下の文意を推求せずして、直ちに一語を指して、便ち法華は華厳より劣れりと謂へるは幾許の誤りぞや、幾許の誤りぞや」と。
 
 当分は相待妙 煩悩に待して菩提を論じ、生死に待して涅槃を論じ、相待して説       く。故に相待と名づく。
  
 跨節は絶対妙 煩悩即菩提なれば麁妙に非ず。生死即涅槃なれば更に相ひ隔         てず。法は無相無名更に不可説なり。故に絶待と名づくるなり。
 
  玄の二 三十三 に云はく「此の経は唯二妙を論ず。更に非絶非待の文無し」文。籤の二 六紙 に云はく「当分は一代に通じ、今に於ては便ち相待を成ず。跨節は唯今経に在り。仏意は今に適めたるに非ざるなり」と。又 六十四張 に云はく「若し相待の中には展転して妙を明かせども、前の麁猶存せり。今絶対を論ずるに、前の諸麁を絶して形待すべき無し」と。記の一 本四十 に云はく「具に玄文に先に相待に約して以て麁を判じ、次に絶待に約して以て妙を弁ずるが如し」文。
 
       心法妙   相待妙
 華厳の円  衆生法妙  相待妙
       仏法妙   相待妙
     
       心法妙   相待妙
 方等の円  衆生法妙  相待妙
       仏法妙   相待妙
    
       心法妙   相待妙
 般若の円  衆生法妙  相待妙
       仏法妙   相待妙
    
 

平成新編御書 ―59㌻―

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