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『一代聖教大意』
(★87㌻)
三僧祇百大劫を経て三蔵教の仏と成る。仏と成る時始めて見思を断尽するなり。見惑とは一には身見 亦我見とも云ふ、 二には辺見 亦断見常見ともいふ、 三には邪見 亦撥無見とも云ふ、 四には見取見 亦劣謂勝見とも云ふ、 五には戒禁取見 亦非因計因非道計道見とも云ふ なり。見惑に八十八有れども此の五が本にて有るなり。思惑とは一には貪、二には瞋、三には癡、四には慢なり。思惑には八十一有れども此の四が本にて有るなり。此の法門は阿含経四十巻・婆沙論二百巻・正理論・顕宗論・倶舎論具に明かせり。別して倶舎宗と申す宗有り。又諸の大乗に此の法門少々明きらめたる事有り。謂はく方等部の経・涅槃経等なり。但し華厳・般若・法華には此の法門無し。
次に通教 大乗の始めなり。 又戒定慧の三学あり。此の教のおきて大旨は六道を出でず。少分利根なる菩薩、六道より外を推し出だすことあり。声聞・縁覚・菩薩共に一つ法門を習ひ、見思を三人共に断じ、而も声聞・縁覚・灰身滅智の意ひに入る者もあり、入らざる者もあり。此の教に十地あり。
一、乾慧地 三賢
賢人
二、性地 四善根
三、八人地 見道の位 聖人
見惑を断ず
四、見地 初果の聖人
五、薄地
十地
六、離欲地 思惑を断ず
七、已弁地 阿羅漢 見思を断じ尽くす
八、辟支仏地 見思を尽くす
九、菩薩地
平成新編御書 ―87㌻―
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