←次へ  TOPへ↑  前へ→  

『一代聖教大意』


(★88㌻)
      十、仏地                見思を断じ尽くす
  此の通教の法門は別して一経に限らず。方等経・般若経・心経・観経・阿弥陀経・双観経・金剛般若経等の経に散在せり。此の通教の修行の時節は、動喩塵劫を経て仏に成ると習ふなり。又一類疾く成ると云ふ辺もあり。已上、上の蔵通二教には六道の凡夫本より仏性ありとも談ぜず。始めて修すれば声聞・縁覚・菩薩・仏とおもひおもひに成ると談ずる教なり。
  次に別教。又戒定慧の三学を談ず。此の教は但菩薩許りにて声聞縁覚を雑へず。菩薩戒とは三聚浄戒なり。五戒・八戒・十善戒・二百五十戒・五百戒。梵網の五十八の戒・瓔珞の十無尽戒・華厳の十戒・涅槃経の自行の五支戒・護他の十戒・大論の十戒。是らは皆菩薩の三聚浄戒の内摂律儀戒なり。摂善法戒とは八万四千の法門を摂す。饒益有情戒とは四弘誓願なり。定とは観・練・薫・修の四種の禅定なり。慧とは心生十界の法門なり。五十二位を立つ。五十二位とは一には十信、二には十住、三には十行、四には十回向、五には十地、等覚 一位、 妙覚 一位、 已上五十二位。
       十信  退位 凡夫菩薩未だ見思を断ぜず
       十住 不退位
       十行  不退位
 五十二位  十回向 不退位 見思・塵沙を断ぜる菩薩
 
 

平成新編御書 ―88㌻―

provided by