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『守護国家論』


(★146㌻)
 亦云はく「若し善比丘有って法を壊る者を見て置いて呵責し駈遣し挙処せずんば、当に知るべし、是の人は仏法の中の怨なり。若し能く駈遣し呵責し挙処せば是我が弟子真の声聞なり」已上。予仏弟子の一分に入らんが為に此の書を造り謗法の失を顕はし世間に流布す。願はくは十方の仏陀此の書に於て力を副へ大悪法の流布を止め一切衆生の謗法を救はしめ給へ。
  大文の第五に善知識並びに真実の法に値ひ難きことを明かさば、之に付いて三有り。一には受け難き人身値ひ難き仏法なることを明かし、二には受け難き人身を受け値ひ難き仏法に値ふと雖も悪知識に値ふが故に三悪道に堕することを明かし、三には正しく末代の凡夫の為の善知識を明かす。
  第一に受け難き人身値ひ難き仏法なることを明かさば、涅槃経三十三に云はく「爾の時に世尊地の少土を取りて之を爪上に置き迦葉に告げて言はく、是の土多きやと、十方世界の地の土多きとや。迦葉菩薩仏に白して言さく、世尊、爪上の土は十方所有の土に比せざるなりと。善男子、人有りて身を捨てゝ還って人身を得、三悪の身を捨てゝ人身を受くることを得。諸根完く具して中国に生じ、正信を具足して能く道を修習し、道を修習し已はって能く正道を修し、正道を修し已はって能く解脱を得、解脱を得已はって能く涅槃に入るは爪上の土の如く、人身を捨て已はって三悪の身を得、三悪の身を捨てゝ三悪の身を得、諸根具せずして辺地に生じ、邪倒の見を信じて邪道を修習し、解脱常楽の涅槃を得ざるは十方界所有の地の土の如し」已上経文。 此の文は多く法門を集めて一具と為せり。人身を捨てゝ還って人身を受くるは爪上の土の如く、人身を捨てゝ三悪道に堕つるは十方の土の如し。三悪の身を捨てゝ人身を受くるは爪上の土の如く、三悪の身を捨てゝ還って三悪の身を得るは十方の土の如し。人身を受くるは十方の土の如く、人身を受けて六根欠けざるは爪上の土の如し。人身を受けて六根欠けざれども辺地に生ずるは十方の土の如く、中国に生ずるは爪上の土の如し。中国に生ずるは十方の土の如く、仏法に値ふは爪上の土の如し。
 

平成新編御書 ―146㌻―

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