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『三八教』


(★414㌻)
 謂はく漸を開し頓を顕はす。故に漸頓と云ふ。法華の前の漸の中の漸に非ず。何となれば前には生熟二蘇を判じて同じく名づけて漸と為し、此の二経の中に亦円頓あり。今の法華の円と彼の二経の円頓と殊ならず、但し彼の方等の中の三、般若の中の二に同じからず、此の二と三とを漸の中の漸と名づく。法華は彼に異なるなり、故に非漸々と云ふのみ。人之を見ずして便ち法華を漸頓と為し華厳を頓々と為すと謂へり。恐らくは未だ可ならず。是合等とは是開権の円なり、故に是合と云ふ。諸部の中の円に同じからず。故に非不合と云ふ。合とは只是会の別名なり。此則ち已に蔵等の四に約して以て権実を簡ぶに当たれり。故に復是円にして三に非ずと云はず。既に是法華の前の顕露に非ざることを知り已竟れば則ち法華は倶に七教に非ざることを了す、此即ち八教に対して簡ぶなり」と。
             別麁円妙
 華厳の円  相待妙 麁妙を判ず
 
     前の三を麁と為し後の一を妙と為す
 方等の円 相待妙 麁妙を判ず
 
       前の二を麁と為し後の一を妙と為す
 般若の円 相対妙 麁妙を判ず
 
              前四味を麁と為し醍醐を妙と為す
          相待妙 麁妙を判ず
 法華の円の二妙      前三を麁と為し後一を妙と為す
          絶待妙  麁を開し妙を顕はす
 

平成新編御書 ―414㌻―

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