←次へ  TOPへ↑  前へ→  

『早勝問答』


(★500㌻)
 今経に於て本迹の十妙の下に各二十の開会あり。亦教・行・人・理の四一開会の中には何れぞや。一義に云はく、能開・所開の中には何れぞや。一義に云はく、開会の後、善悪無しと云ふか。一義に云はく、天台宗は法華を信ずるか。一義に云はく、開会の後、諸宗を簡ばずと云はゞ、天台大師僻事なるか。其の故は南三北七云云。伝教大師は六宗と云云。一義に云はく、天台宗は悪行をも致すべきか、性悪不断と云ふが故に自語相違なりと責むべきなり。一義に云はく、開会の後に権実を立つる人は僻事なるか。爾らば薬王の十喩、法師の三説超過云云。一義に云はく、此の故に開会の心を以て慈覚は法華を謗ずるか。一義に云はく、汝は慈覚の弟子なるか。爾らば謗法治定なるか。
  問ふ、善悪不二・邪正一如の故に強ちに善悪を云ふべからざるなり、元意の重是なり。答えて云はく、天台の出世は悪を息めんが為か、又悪を増さんが為か。一義に云はく、悪事を致せとは法華経二十八品の中には何れの所に見えたるや。 
  問ふ、絶待妙の事。答ふ、一義に云はく、先づ文段を問ふべし。一義に云はく、何れの教の絶待ぞや。一義に云はく、此の故に慈覚は法華を謗ずるか。
  問ふ、相待は一往、絶待は再往と見えたり如何。答ふ、自義なるか、経文なるか。一義に云はく、相待妙一往と云ふは、二十八品の中には何れに見えたるや。一義に云はく、相待妙は法華に明かすか、余経に明かすか。若し法華に明かさば法華は一往なるか。
  問ふ、約教・約部の故に、約部の日は一往爾前の円を嫌ふなり。答ふ、一義に云はく、言ふ所の約教は天台の判釈の四種の約教の中には何れぞや。一義に云はく、約部は落居の釈なるか。一義に云はく、約部を捨つべきか。一義に云はく、約教の時爾前の円を嫌はゞ、堕獄は治定なるか。一義に云はく、約教の辺にて今昔の円同じとは、法華経の二十八品の中何れぞや。一義に云はく、玄文の第一の施・開・廃の三重の故に、
 

平成新編御書 ―500㌻―

provided by