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『真言諸宗違目』


(★601㌻)
 我が滅度の後に若し此の経を持ち一人の為にも説かん、是則ち為れ難し」等云云。日蓮は此の経文に当たれり。「諸の無智の人有って悪口罵詈等し、及び刀杖を加ふる者あらん」等云云。仏陀記して云はく「後五百歳に法華経の行者有って、諸の無智の者の為に必ず悪口罵詈・刀杖瓦石・流罪死罪せられん」等云云。日蓮無くば釈迦・多宝・十方諸仏の未来記は当に大妄語なるべきなり。
  疑って云はく、汝当世の諸人に勝るゝ事は一分爾るべし。真言・華厳・三論・法相等の元祖に勝るとは豈慢過慢の者に非ずや。過人法とは是なり。汝必ず無間大城に堕すべし。故に首楞厳経に説いて云はく「譬へば窮人妄りに帝王と号して自ら誅滅を取るが如し。況んや復法王如何ぞ妄りに窃まん。因地直からざれば果紆曲を招かん」等云云。涅槃経に云はく「云何なる比丘か過人法に堕する。○未だ四沙門果を得ず。云何ぞ当に諸の世間の人をして我は已に得たりと謂はしむべし」等云云。答へて云はく、法華経に云はく「又大梵天王の一切衆生の父なるが如し」と。又云はく「此の経○諸経の中、最も為れ第一なり。能く是の経典を受持すること有らん者も亦復是くの如し。一切衆生の中に於て亦為れ第一なり」等云云。伝教大師の秀句に云はく「天台法華宗の諸宗に勝れたるは所依の経に拠る。故に自讃毀他ならず。庶くは有智の君子、経を尋ね宗を定めよ」等云。星の中に勝れたるは月、星月の中に勝れたるは日輪なり。小国の大臣は大国の無官より下る傍例なり。外道の五通を得るは仏弟子の小乗の三賢の者の未だ一通を得ざるも天地猶勝れり。法華経の外の諸経の大菩薩は法華の名字即の凡夫より下れり。何ぞ汝始めて之に驚くや。教に依って人の勝劣を定む。先づ経の勝劣を知らずして何ぞ人の高下を論ぜんや。
  問うて云はく、汝法華経の行者為らば、何ぞ天汝を守護せざるや。答へて云はく法華経に云はく「悪鬼其の身に入る」等云云。首楞厳経に云はく「修羅王有って世界を執持して能く梵王及び天の帝釈四天と権を諍ふ。此の阿修羅は変化に因って有り、天趣の所摂なり」等云云。能く大梵天王・帝釈・四天と戦ふ大阿修羅王有り。禅宗・
 

平成新編御書 ―601㌻―

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