←次へ
TOPへ↑
前へ→
『呵責謗法滅罪抄』
(★716㌻)
況んや滅度の後をや」等云云。同第七に況滅度後を重ねて説いて云はく「我が滅度の後、後五百歳の中に閻浮提に広宣流布せん」等云云。仏滅後の多怨は後五百歳に妙法蓮華経の流布せん時と見えて候。次下に又云はく「悪魔・魔民・諸天・竜・夜又・鳩槃茶」等云云。行満座主伝教大師を見て云はく「聖語朽ちず今此の人に遇へり。我披閲する所の法門日本国の阿闍梨に授与す」等云云。今も又是くの如し。末法の始めに妙法蓮華経の五字を流布して日本国の一切衆生が仏の下種を懐妊すべき時なり。例せば下女が王種を懐妊すれば諸女瞋りをなすが如し。下賤の者に王頂の珠を授与せんに大難来たらざるべしや。一切世間多怨難信の経文是なり。涅槃経に云はく「聖人に難を致せば他国より其の国を襲ふ」云云。仁王経も亦復是くの如し。日蓮をせめて弥天地四方より大災い雨の如くふり泉の如くわき浪の如く寄せ来たるべし。国の大蝗虫たる諸僧等・近臣等が日蓮を讒訴する弥盛んならば、大難倍来たるべし。帝釈を射る修羅は箭って己が眼にたち、阿那婆達多竜を犯さんとする金翅鳥は自ら火を出だして自身をやく。法華経を持つ行者は帝釈・阿那婆達多竜に劣るべきや。章安大師の云はく「仏法を壊乱するは仏法の中の怨なり、慈無くして詐り親しむは即ち是彼が怨なり」等云云。又云はく「彼が為に悪を除くは即ち是彼が親なり」等云云。
日本国の一切衆生は法然が捨閉閣抛と禅宗が教外別伝との誑言に誑かされて、一人もなく無間大城に堕つべしと勘へて、国主万民を憚からず、大音声を出だして二十余年が間よばはりつるは、竜逢・比干の直臣にも劣るべきや。大悲千手観音の一時に無間地獄の衆生を取り出だすに似たるか。火の中の数子を父母が一時に取り出ださんと思ふに、手少なければ慈悲前後有るに似たり、故に千手・万手・億手ある父母にて在すなり。爾前の経々は一手・二手等に似たり。法華経は「一切衆生を化して皆仏道に入らしむ」と、無数手の菩薩是なり。日蓮は法華経並びに章安の釈の如くならば、日本国の一切衆生の慈悲の父母なり。天高けれども耳とければ聞かせ給ふらん。地厚けれども眼早ければ御覧あるらん、天地既に知ろし食しぬ。又一切衆生の父母を罵詈するなり、父母を流罪するなり。
平成新編御書 ―716㌻―
provided by