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『聖密房御書』
(★727㌻)
法華経は猶華厳経にをとれりと僻見せり。亀毛の長短、兎角の有無、亀の甲には毛なし、なんぞ長短をあらそい、兎の頭には角なし、なんの有無を論ぜん。理同と申す人いまだ閻魔のせめを脱れず。大日経に劣る、華厳経に猶劣ると申す人謗法を脱るべしや。人はかはれども其の謗法の義同じかるべし。弘法の第一の御弟子かきのもときの僧正紺青鬼となりし、これをもてしるべし。空海、悔ひ改むることなくば悪道疑ふべしともをぼへず。其の流れをうけたる人々又いかん。
問うて云はく、わ法師一人此の悪言をはく、如何。答へて云はく、日蓮は此の人々を難ずるにはあらず、但不審する計りなり。いかりおぼせば、さでをはしませ。外道の法門は一千年・八百年、五天にはびこりて、輪王より万民かうべをかたぶけたりしかども、九十五種共に仏にやぶられたりき。摂論師が邪義、百余年なりしもやぶれき。南北の三百余年の邪見もやぶれき。日本二百六十余年の六宗の義もやぶれき。其の上此の事は伝教大師の或書の中にやぶられて候を申すなり。日本国は大乗に五宗あり、法相・三論・華厳・真言・天台なり。小乗に三宗あり、倶舎・成実・律宗なり。真言・華厳・三論・法相は大乗よりいでたりといへども、くわしく論ずれば皆小乗なり。宗と申すは戒定慧の三学を備へたる物なり。其の中に定慧はさてをきぬ。戒をもて大小のはうじをうちわかつものなり。東寺の真言・法相・三論・華厳等は戒壇なきゆへに、東大寺に入りて小乗律宗の驢乳臭糞の戒を持つ。戒を用って論ぜば此等の宗は小乗の宗なるべし。比叡山には天台宗・真言宗の二宗、伝教大師習ひつたへ給ひたりしかども、天台円頓の円定・円慧・円戒の戒壇立つべきよし申させ給ひしゆへに、天台宗に対しては真言宗の名あるべからずとをぼして、天台法華宗の止観・真言とあそばして公家へまいらせ給ひき。伝教より慈覚たまはらせ給ひし誓戒の文には、天台法華宗の止観・真言と正しくのせられて、真言宗の名をけづられたり。天台法華宗は仏立宗と申して仏より立てられて候。真言宗の真言は当分の宗、
平成新編御書 ―727㌻―
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