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『聖密房御書』


(★728㌻)前
 論師・人師始めて宗の名をたてたり。而るを、事を大日如来・弥勒菩薩等によせたるなり。仏御存知の御意は但法華経一宗なるべし。小乗には二宗・十八宗・二十宗侯へども、但所詮の理は無常の一理なり。法相宗は唯心有境なり。大乗宗無量の宗ありとも、所詮は唯心有境とだにいはゞ但一宗なり。三論宗は唯心無境なり。無量の宗ありとも、所詮唯心無境ならば但一宗なり。此は大乗の空有の一分か。華厳宗・真言宗あがらば但中、くだらば大乗の空有なるべし。経文の説相は猶華厳・般若にも及ばず。但しよき人とをぼしき人々の多く信じたるあいだ、下女を王のあいするににたり。大日経等は下女のごとし、理は但中にすぎず。論師・人師は王のごとし、人のあいするによていばうがあるなるべし。上の問答等は当時は世すえになりて、人の智浅く慢心高きゆへに用ふる事はなくとも、聖人・賢人なんども出でたらん時は子細もやあらんずらん。不便にをもひまいらすれば目安に注せり。御ひまにはならはせ給ふべし。
  これは大事の法門なり。こくうざう菩薩にまいりて、つねによみ奉らせ給ふべし。
                      日  蓮 花押
 聖密房に之を遣はす
 

平成新編御書 ―728㌻―

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