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『秀句十勝抄』


(★1335㌻)
一切の諸の経法の中に於て最も為れ第一なり」已上経文。之を略す。 又云はく「仏の諸法の王為るが如く此の経も亦復是くの如し。。 諸経の中の王なり」已上経文。
    日蓮私に入る。 玄一に云はく「又薬王品に十譬を挙げて教を歎ず。今其の六を引かんに、大なること海の如く、高きこと山の如く、円かなること月の如く、照らすこと日の如く、自在なること梵王の如く、極なること仏の如し」と。又云はく「月は能く虧盈するが故に、月は漸く円かなるが故に法華も亦爾なり。同体の権実なるが故に漸を会して頓に入るが故なり。灯炬星月は闇と共に住す。諸経の二乗の道果を存し小と並び立つに譬ふ故に。日は能く闇を破するが故に、法華は化城を破し草庵を除くが故なり。又日は星月を映奪して現ぜざらしむるが故に、法華は迹を払ひ方便を除くが故なり」と。籖一に云はく「次に月の譬へとは、実は盈つるが如く権は虧くるが如し。同体の権実は月輪の欠くること無きが如く、漸を会して頓に入るは明相の漸く円かなるが如し。故に知んぬ、前の教相の中に是漸頓と云へるは月の譬へと意同じきことを。経の中には星を以て月天子に比し天子を挙ぐると雖も、経に合すれば既に此の法華経最も為れ照明なりと云ふ。故に今は但円を取り、亦兼ねて明を以て譬へと為す。次に日の譬への中に復灯炬を加ふ。今日の譬へに合する中に破化城故と云ふは、但日の明の能く諸明の映ずるを取るが故なるのみ。若し更に合せば亦灯等の四を以て二乗及び通別の菩薩に譬ふべし。並びに無明と共に住するが故なり。故に次に重ねて引く中に略して星月を挙げて而も方便を除く。故に知んぬ、方便の所収復広きことを」と。
  此の秀句に云はく、天台の法華玄に云はく、月は能く乃至灯炬星月は闇と共に住す。諸経の二乗の道果を存して小と並び立つを譬ふ已上玄文。乃至第三の譬へ竟はる。 又云はく、又如日天子乃至第四の譬へ竟はる。
    第十には仏を法王に喩ふ。日蓮が云はく、迹仏は長者の位、本仏は法王の位か。
 

平成新編御書 ―1335㌻―

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