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『秀句十勝抄』


(★1341㌻)
 専ら本迹に約して権巧と為すと謂ふには非ず。故に権実の二義、経力倶に成ぜり。他人此を釈するに或は七地・十地等と云ふは経の力用を顕はすことを能はざる故なり」と。
    輔に云はく「経に深達罪福相とは、問ふ、此は是仏を讃ずるや自讃と為るや。答ふ、経及び疏を観るに是自身の所証を讃じて、以て智積の疑を釈するなり」と。
    日蓮疑って云はく、法華の天台・妙楽・伝教の心は大日経等の即身成仏を許すや。慈覚・智証等之を許す。安慧・安然等も又之を許す。随って日本国の末学も之を許せり。
    菩薩心論此の論は竜猛菩薩の造。不空の訳。或は不空の造と云ふに云はく「唯真言法の中にのみ即身成仏するが故に是に三摩地の法を説く。諸教の中に於て欠いて書せず」と。又云はく「勝義・行願の三摩地云云。第三に三摩地と言へるは三十七尊を釈して金剛頂経の心を引き、又摩訶般若経を引く。○此の甚深秘密の瑜伽を説いて、修業者をして内心の中に於て日月輪を観ぜしむ」と。又云はく「我自心を見るに形月輪の如し」と。又云はく「一切の有情、心質の中に於て一分の浄性有り、衆行皆備はれり。其の体極めて微妙にして皎然として明白なり。乃至六趣に輪回すれども亦変易せざること月の十六分の一の如し」と。又云はく「初めに阿字を以て本心の中の分の明を発起して、只漸く潔白分明ならしめて無生智を証す。夫阿字とは一切諸法本不生の義なり。毘廬遮那経の疏に准ぜば阿字を釈するに具に五義有り。一には阿字短声是菩提心なり。二には阿字引声是菩提行なり。三には暗字短声是証菩提の義なり。四には悪字短声是般涅槃の義なり。五には悪字引声是具足方便智の義なり。又阿字を将って法華経の中の開示悟入の四字に配解せば、開の字は仏知見を開く。即ち双べて菩提心を開くこと初めの阿字の如し。是菩提心の義なり。示の字は仏知見を示す。第二の阿字の如し。是れ菩提行の義なり。悟の字は仏知見を悟る。第三の暗字の如し。是証菩提の義なり。入の字は仏知見に入る。第四の悪字の如し。是般涅槃の義なり。
 

平成新編御書 ―1341㌻―

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