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『上野殿御返事』
(★1358㌻)
№0362
上野殿御返事 弘安二年四月二〇日 五十八歳
抑日蓮種々の大難の中には、竜の口の頚の座と東条の難にはすぎず。其の故は諸難の中には命をすつる程の大難はなきなり。或はのり、せめ、或は処をおわれ、無実を云ひつけられ、或は面をうたれしなどは物のかずならず。されば色心の二法よりをこりてそしられたる者は、日本国の中には日蓮一人なり。ただし、ありとも法華経の故にはあらじ。さてもさてもわすれざる事は、せうぼうが法華経の第五の巻を取りて日蓮がつらをうちし事は、三毒よりをこる処のちゃうちゃくなり。
天竺に嫉妬の女人あり。男をにくむ故に、家内の物をことごとく打ちやぶり、其の上にあまりの腹立にや、すがたけしきかわり、眼は日月の光のごとくかがやき、くちは炎をはくがごとし。すがたは青鬼・赤鬼のごとくにて、年来男のよみ奉る法華経の第五の巻をとり、両の足にてさむざむにふみける。其の後命つきて地獄にをつ。
平成新編御書 ―1358㌻―
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