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『曾谷殿御返事』


(★1386㌻)
 日本国の人々癡かの上にいかりををこす。邪法をあいし、正法をにくむ、三毒がうじゃうなり。日本国いかでか安穏なるべき。壊劫の時は大の三災をこる、いはゆる火災・水災・風災なり。又減劫の時は小の三災をこる、ゆはゆる飢渇・疫病・合戦なり。飢渇は大貪よりをこり、やくびゃうはぐちよりをこり、合戦は瞋恚よりをこる。今日本国の人々四十九億九万四千八百二十八人の男女、人々ことなれども同じく一つの三毒なり。所謂南無妙法蓮華経を境としてをこれる三毒なれば、人ごとに釈迦・多宝・十方の諸仏を一時にのり、せめ、流し、うしなうなり。是即ち小の三災の序なり。
  しかるに日蓮が一るい、いかなる過去の宿じうにや、法華経の題目のだんなとなり給ふらん。是をもてをぼしめせ。今梵天・帝釈・日月・四天・天照太神・八幡大菩薩、日本国の三千一百三十二社の大小のじんぎは過去の輪陀王のごとし。白馬は日蓮なり。白鳥は我らが一門なり。白馬のなくは我等が南無妙法蓮華経のこえなり。此の声をきかせ給ふ梵天・帝釈・日月・四天等いかでか色をまし、ひかりをさかんになし給はざるべき、いかでか我等を守護し給はざるべきと、つよづよとをぼしめすべし。
  抑貴辺の去ぬる三月の御仏事に鵞目其の数有りしかば、今年一百余人の人を山中にやしなひて、十二時の法華経をよましめ談義して候ぞ。此らは末代悪世には一えんぶだい第一の仏事にてこそ候へ。いくそばくか過去の聖霊もうれしくをぼすらん。釈尊は孝養の人を世尊となづけ給へり。貴辺あに世尊にあらずや。故大進阿闍梨の事なげかしく候へども、此又法華経の流布の出来すべきいんえんにてや候らんとをぼしめすべし。事々命ながらへば其の時申すべし。
   八月十一日                     日蓮花押    
  曽谷入道殿御返事
 

平成新編御書 ―1386㌻―

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