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『日女御前御返事』
(★1387㌻)
№0375
日女御前御返事 弘安二年八月二三日 五八歳
御本尊供養の御為に鵞目五貫・白米一駄・菓子其の数送り給び候ひ畢んぬ。
抑此の御本尊は在世五十年の中には八年、八年の間にも涌出品より嘱累品まで八品に顕はれ給ふなり。さて滅後には正法・像法・末法の中には、正像二千年にはいまだ本門の本尊と申す名だにもなし、何に況んや顕はれ給はんをや。又顕はすべき人なし。天台・妙楽・伝教等は内には鑑み給へども、故こそあるらめ言には出だし給はず。彼の顔淵が聞きし事、意にはさとるといへども言に顕はしていはざるが如し。
然るに仏滅後二千年過ぎて、末法の始めの五百年に出現せさせ給ふべき由、経文赫々たり明々たり。天台・妙楽等の解釈分明なり。
爰に日蓮いかなる不思議にてや候らん、竜樹・天親等、天台・妙楽等だにも顕はし給はざる大曼荼羅を、末法二百余年の比、はじめて法華弘通のはたじるしとして顕はし奉るなり。是全く日蓮が自作にあらず、多宝塔中の大牟尼世尊・分身の諸仏のすりかたぎたる本尊なり。されば首題の五字は中央にかゝり、四大天王は宝塔の四方に坐し、釈迦・多宝・本化の四菩薩肩を並べ、普賢・文殊等、舎利弗・目連等座を屈し、日天・月天・第六天の魔王・竜王・阿修羅・其の外不動・愛染は南北の二方に陣を取り、悪逆の達多・愚癡の竜女一座をはり、三千世界の人の寿命を奪ふ悪鬼たる鬼子母神・十羅刹女等、加之日本国の守護神たる天照太神・八幡大菩薩・天神七代・地神五代の神々、総じて大小の神等、体の神つらなる、其の余の用の神豈もるべきや。宝塔品に云はく「諸の大衆を接して皆虚空に在り」云云。此等の仏・菩薩・大聖等、総じて序品列座の二界・八番の雑衆等、
平成新編御書 ―1387㌻―
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