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『釈迦一代五時継図』


(★1671㌻)
 時機未だ熟せず、権に小の名を立つ。汝等の行ずる所是菩薩の道、始めて記を得て方に大人と名づくるに非ず」と。釈籖の一に云はく「法譬二周得益の徒は往日結縁の輩に非ざることなし」云云。
  五百塵点 久遠を以て元始と為す
                  寿量品の意なり
  五百塵点 霊山の中間
     第三に師弟の遠近不遠近の相
  種熟脱を論ず 種は久遠 熟は過去 脱は近く世々番々の成道 今日の法華なり
  玄義の一に云はく「又衆経咸云はく、道樹にして師の実智始めて満じ、道樹を起って始めて権智を施すと。今の経は師の権実道樹の前に在って久々に已に満ずと明かす。諸経に二乗の弟子は実智に入ることを得ず、亦権智を施すこと能はざることを明かす。今の経には弟子の入実は甚だ久しく、亦先より解して権を行ずることを明かす。又衆経は尚道樹の前の師と弟子との近々の権実を論ぜず。況んや復遠々をや。今の経は道樹の前の権実長遠なることを明かす。補処世界を数ふるに知らず。況んや其の塵数をや。経に云く、昔未だ曽て説かざる所、今皆当に聞くことを得べし。慇懃に称讃すること良に所以有るなり。当に知るべし、此の経は諸経に異なることを」と。釈籖の一に云はく「二乗、猶小果に住す。故に不入と云ふ。豈能く他を化せんや。故に権を施さず。次に今経を明かす。満願等の如き先に已に実に入る。説法第一なり。故に先より解して権を行ずることを」と。弘の七に云はく「過去下種は現在に重ねて聞いて成熟の益を得。未だ曽て下種せず、現在に種を成じ、未来に方に益す。故に三世の益皆法輪に因る」と。薬草喩品に云はく「汝等が所行は是菩薩の道なり。漸々に修学して悉く当に成仏すべし」云云。記の一に云はく「一時一説一念の中、三世九世、種・熟・脱の三あり」と。弟子品に云はく「諸の比丘諦かに聴け。仏子所行の道は善く方便を学せるが故に思議することを得べからず。
 

平成新編御書 ―1671㌻―

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