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『法華本門宗血脈相承事』


(★1682㌻)
  又三大部に於て一同十異・四同六異之有り。伝教大師仏立寺より之を口決す。一同とは名同なり。十異とは、名同義異・所依異・観心異・傍正異・用教異・対機異・顕本理異・修行異・相承異・元旨異なり。
  四同とは名同・義同・所依同・所顕同なり。六異とは、釈異・大綱網目異・本末異・観心異・教内外観異・自行化他異是なり。
  今要を以て之を言はゞ、迹・本・観心同名異義なり。始終本末共に、修行も覚道も時機も感応も皆勝劣なり。
  此の下二十四番勝劣なり。
  一に彼の本門は我が迹門。二に彼の勝は此の劣。三に彼の深義は予が浅義。四に彼の深理は此の浅理。五に彼の極位は此の浅位。六に彼の極果は此の初心。七に彼の観心は此の教相。八に彼は台星の国に出生し、此は日本国に出世す、九に彼は薬王此は上行。十に彼は解了の機を利し、此は愚悪の機を益す。十一に彼の弘通は台星所居の高嶺なり、此の弘経は日王能住の高峰なり。十二に彼は上機に教へ、此は下機に訓ゆ。十三に彼は一部を以て本尊と為し、此は七字を以て本尊と為す。十四に彼は相対開会を以て表と為し、此は絶対開会を表と為す。十五に彼は熟脱、此は下種。十六に彼は衆機の為に円頓者初縁実相と示し、此は万機の為に南無妙法蓮華経と勧む。十七に彼は悪口怨嫉、此は遠島流罪。十八に彼は一部を読誦すと雖も二字を読まざるの義之在り、此は文々句々悉く之を読む。十九に彼は正直の妙法の名を替へて一心三観と名づく、有りの侭の大法に非ざれば帯権の法に似たり、此は信謗彼此決定成菩提、南無妙法蓮華経と唱へ懸く。二十に彼は諸宗の謬義を粗書き顕はすと雖も未だ言説せず、此は身命を惜しまず他師の邪義を糾し三類の強敵を招く。廿一に彼は安楽普賢の説相に依り、此は勧持不軽の行相を用ゆ。廿二に彼は一部に勝劣を立て、此は一部を迹と伝ふ。廿三に彼は応仏の域を引かふ、此は寿量品の文底を用ゆ。廿四に彼は応仏昇進の自受用報身の一念三千・一心三観、
 

平成新編御書 ―1682㌻―

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